小規模事業者持続化補助金は
小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
- 小規模事業者が
- 経営計画を作成し
- 販路開拓や生産性向上の取組身を行う
ことに補助金を給付する。というものです。
簡単に言うと
- チラシを配ってお客さんを呼び込みたい
- 看板を設置してお客さんを呼び込みたい
- ホームページを作ってインターネットからお客さんを呼び込みたい
- 新しいサービスを始める(商品を売り込む)ことでお客さんを呼び込みたい
- 新しい設備を導入して売上を上げたい・生産性を向上させたい
などの施策を実施することで、新たに顧客を獲得したり、より効率的に生産する仕組みによって売り上げをあげることを目指す計画に対して補助金が交付される政策です。
しかし、上記の例のチラシや看板、ホームページを作りたいといった計画であっても、それが販路開拓・生産性向上に無関係であるものであると審査に通りません。
実施した計画で取得した財産等を処分してしまった等の一定の場合に、補助事業完了後に会計検査院等による実施検査の結果、補助金返還命令等が出る場合があります。
補助金の性質上、先に支払いが必要で、計画の完了後に領収証などを添付した報告書を提出したのちに、かかった費用の一部が支給されます。
また、予算にも上限があり、審査員が1つ1つ審査を行うため、立派な計画書ができたからといって必ず審査に通過するとは限りません。
まとめ
- 新しくお客さんを呼び込むための計画が必要
- 要件を満たして申請すれば必ずもらえるとは限らない
- 申請→計画の審査→計画の実行→支払い内容の確認→補助金交付 となるため、入金まで時間がかかる
小規模事業者の要件
①対象となる小規模事業の要件は以下の通りです。
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 常時使用する従業員の数 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
「常時使用する従業員の数」には会社役員、個人事業主本人及び同居の親族従業員、短期間雇用などの一定のパートタイム労働者、申請時に育児休業・介護休業・傷病休業中または休職中の社員(法令や就業規則の適用があるもの)は含みません。
法人・個人事業・特定非営利活動法人が対象
②次の3つの要件全てを満たすこと
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に 100 %株式保有されていないこと(法人のみ)
- 直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
- 本補助金の受付締切日の前10か月以内に、持続化補助金(一般型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択されていないこと
- 補助金の締め切り日の10カ月以内に持続化補助金の採択されていないこと
採択されていても、10ヶ月経てば、持続化補助金の申請ができます。
極端に言えば毎年1回申請が可能ということになります。
また、持続化補助金の申請に挑戦したが、惜しくも採択されなかった場合は、再度申請が可能です。
経営計画
持続化補助金の申請では、持続的な経営に向けた経営計画の作成が必要となります。
経営計画は、将来のビジョンや目標、具体的な戦略や手段を明確にし、事業を持続的に発展させるための重要なツールとなります。
具体的には、事業の現状分析や市場動向の調査、財務計画や人材育成計画の策定などが含まれます。
経営計画は、補助金の申請だけでなく、事業運営全般においても必要不可欠なものとなっています。
事業者自身が現在の事業を見つめなおし、さらに事業を発展させることができるように計画を立てるという側面もあります。
事業者補助金の申請を通して、初めて経営を見つめなおすことができた。
という事業者さんも少なくありません。
販路開拓
持続化補助金では新たな販路の開拓や既存販路の拡大への取組が主な対象です。
対象となる事業は(比較的短期間の)およそ1年以内に売上げにつながることができるような事業活動をいいます。
例えば、集客や店舗の宣伝イベントなどや、インターネットを活用したECサイトの構築、海外市場への進出などが挙げられます。
また、販路開拓には商品やサービスの付加価値を高めることも重要です。
補助金を利用して商品やサービスの改善や新規開発を行い、顧客からの支持を集めることができます。
生産性向上
販路開拓と共に取り組む、生産性向上・業務効率化の取組も対象となります。
例えば、補助金を活用して新たな設備や機械を導入し、生産プロセスの効率化や品質向上を図ることができます。
また、社員のスキルアップやノウハウの共有なども生産性向上につながります。
生産性の向上により、コスト削減や製品の付加価値の向上などが実現し、事業の持続的な成長につながるでしょう。
申請から補助金の受け取りまでの流れ
- 事業全体の計画を作る
- 申請書を作る
- 商工会・商工会議所で申請書を確認してもらい、認定書を作成してもらう
- 申請する(郵送か電子申請)
- 審査
- 結果を受ける(採択)
- 事業の開始
- 発注
- 事業開始(工事など)
- 実績報告書を作成して提出する
- 実績報告書の審査
- 補助金の交付
- 商工会・商工会議所
事業所のある住所地によって商工会・商工会議所があります。
代理での相談はできませんので事業者本人が面談に行く必要があります。
認定書を作成してもらうための面談ですので、商工会・商工会議所の会員である必要はありません。
発行まで1週間程度かかりますので、申請締め切り日までに発行が間に合うように早めに面談を行いましょう。
- 電子申請を行う場合
郵送申請より有利になります。
電子申請を行うためには【GビズIDプライム アカウント】が必要です。
事前に取得しておきましょう。
通常、発行までに1~3週間程度かかります。
個人事業主でマイナンバーカードをお持ちの場合は、即時発行が可能となっています。
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- 郵送申請を行う場合
電子申請よりも不利です。
申請書類をデータ化してCDやUSBメモリで一緒に送る必要があります。
レターパックなど郵送記録が残る郵送方法で送付しましょう。
※郵送する書類が「信書」に該当する場合は取り扱いできる事業者が限られます。信書を扱えない郵送業者に依頼してしまうと、依頼主も罰則を受ける可能性があります。
相談先の商工会・商工会議所によっては商工会・商工会議所を経由して申請となる場合があります。
補助率と補助上限額
通常枠
賃金引上げ枠 販路開拓の取組 事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者
卒業枠 雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業拡大をする小規模事業者
後継者支援枠 アトツギ甲子園においてファイナリストに選ばれた小規模事業者
創業枠 「特定創業支援等事業の支援」を受けた
インボイス特例 免税事業者が新たにインボイス発行事業者として登録する
どんな書類が必要か
申請書類(単独申請)の場合
小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(電子申請の場合は不要)様式1-1 |
経営計画書兼補助事業計画書① 様式2-1 |
補助事業計画書② 様式3-1 |
事業支援計画書 様式4 |
補助金交付申請書(電子申請の場合は不要)様式5 |
宣誓・同意書 様式6 |
電子媒体 USBメモリやCDなどに各様式ごとにファイルを分けて保存(電子申請の場合は不要)提出しない場合は審査されません。 |
申請団体ごとの個別添付書類
- 法人
貸借対照表および損益計算書(直近1期分)の写し |
株主名簿(該当者のみ) の写し |
- 個人
直近の確定申告書【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)または所得税青色申告決算書(1~4面)】(税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)の写し |
- NPO
貸借対照表および活動計算書(直近1期分)の写し |
現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(申請書の提出日から3か月以内の日付のもの(原本)) |
法人税確定申告書(別表一(受付印のある用紙)および別表四(所得の簡易計算))(直近1期分)の写し |
申請書類の書き方
申請書は商工会、商工会議所のホームページからダウンロードができます。
応募要綱、ガイドブックをよく読むと、この欄にはこれを記載してください。こういうことを書いてください。
といった説明が書いてありますので指定された内容を書いていきます。
書いていくうえでのポイント
- 写真を使って見やすく
- 図表を使ってわかりやすく
- 専門用語を使わない
- 最初から通して内容の一貫性に注意
1度の申請で何万件と応募があり、その1つ1つを審査員が審査していきます。
事業所などの写真や、計画している事業を説明するのにわかりやすい画像など積極的に入れたほうが見やすい計画書に仕上がります。
審査員は提出された申請書の内容に関する専門家とは限りませんので、難しい専門用語だらけの申請書では、理解されないこともあります。
売上の計画など、数字を使って説明する部分は図をつかって視覚的にわかりやすい計画書にしましょう。
計画書が出来上がったら、一度最初から読み直して、一貫性があるかどうかチェックを行ってください。